尿道から膿がでる、排尿の時に痛む、身におぼえがある。
このような症状は「尿道炎」の症状です。
診断は「検尿、問診、尿のDNA検査」で行います。
治療は淋菌ないしクラミジアを殺すお薬をのんでいただきます。
放置すると症状は消えても、相手にうつしたり、慢性になったり、不妊症になったりします。
当然売薬では治りません。
尿道炎
尿道炎は淋菌性尿道炎、クラミジア性尿道炎、そして最近では多くがウレアプラスマやマイコプラズマによるとされる非淋菌非クラミジア性尿道炎に分けられことが多いようです。
淋菌性尿道炎
以前の淋菌性尿道炎と言えば感染直後から激烈な排尿痛を伴い、尿道から膿が出てきたり、尿道口が発赤してはれるなど典型的症状をだし、診断に困ることはありませんでしたが、最近では軽症例が増加しておりほとんど症状を示さない人もいるということです。
淋菌性の尿道炎の発生契機として最も問題視されているのがファッションヘルスなどの風俗店でのオーラルセックスです。現在の淋菌性の尿道炎の50%がオーラルセックスからの感染ということです。
淋菌は咽頭に簡単に感染してしまい、常在するのです。
一応潜伏期(感染してから発症するまでの期間)は3〜7日ということになっていますが、後で述べますように最近ではあまりはっきりしない場合も多いようです。
あるデーターでは性行為で男性から女性へうつしてしまう確率は80%、女性から男性へうつす確率は20%だそうです。
福岡県は非常に多く、あるデータでは男女とも全国平均の1.3倍から1.5倍程度だそうです。
症状があれば特別な検査はなくとも診断は簡単です。
実際には初発尿のSDA法などのDNA検査で診断します。
治療は抗生物質を使用しますが、淋菌の場合は薬剤耐性が非常に大きな問題となっています。
現在有効であるとされているのはトロビシンの筋肉内注射やロセフィンの点滴静注とされており、これらは感受性が保たれています。
内服剤の抗生物質は薬剤耐性が進んでおり確実に治癒できるとは言い難い状況です。
クラミジア性尿道炎
症状としては淋菌と同様ですが、淋病にくらべてやや軽いないし、中には症状が全くないものもあります。そのため放置されることもあるようです。
また女性では無症状の傾向が非常に強く不妊症の検査で発見されることがままあるようです。
といいますのは男女ともに不妊症の原因となる点です。男性でも女性でも精子もしくは卵子の通過障害を起こしうるのです。
性行為にてパートナーにうつしてしまう確率は50〜60%ということです。
診断は初発尿のSDA法などで行います。
ただし淋病と異なり抗生剤に耐性は少ないようです。マクロライド系(クラリス、ジスロマックなど)はほぼ確実に効きますしテトラサイクリン系(ミノマイシン)なども有効です。
その他の尿道炎
最近では非淋菌、非クラミジア性の尿道炎と言うものも広まりつつあります。
ウレアプラズマ、マイコプラズマなどがその大半を占めマクロライド系に耐性の物もあるようです。
現時点ではテトラサイクリン系は感受性が保たれているようです。
最近の尿道炎治療のジレンマ
淋菌性尿道炎につきましては診断、治療とも困難に直面しております。
@治療につきましては上に記載してますように耐性菌の出現です。
A症状につきましても、以前の淋菌性尿道炎と異なり、軽症例が増加しています。
つまり淋病とクラミジアの区別が症状ではつかない、しかし有効な薬は違う、ということです。
尿道炎の診断・治療の選択肢
尿道から膿がでる、排尿の時に痛む、身におぼえがある。
このような症状があれば尿道炎と診断できます。ついで淋病とクラミジアの鑑別が必要です。
淋病とクラミジアの鑑別
1)症状・所見(下記の基準で鑑別します)
潜伏期
淋病:1週間内程度 クラミジア:1週間以上
自他覚所見 淋病:激烈な排尿痛、尿道口が発赤 クラミジア:軽い症状
排膿の状態 淋病:黄色で濃い、クラミジア:クリーム色で薄い
一般的に淋病がクラミジアより症状が強い
しかし、これが最も重要なことですが、淋病の症状が以前に比べ軽くなり、ほとんどクラミジアと区別がつかない人が増えつつあることです
2)尿のSDA法などのDNA検査(最終的診断法。確実ですが3〜5日要します)